こんにちは、KAZUHAです。夜勤明けの朝、病棟の窓から見える空がやけに澄んでいて、「ああ、今日もみんな無事に朝を迎えられたな」とほっとしながらこれを書いています。
今日のテーマは、ちょっとだけ胸の奥がチクッとするお話。
「新しく出会った女性と食事をしていても、つい元妻(あるいは昔の恋人)と比べてしまう」
「“前の人ならこうしてくれたのに”と思ってしまう自分が嫌になる」
「比べているうちに、なんだか誰ともうまくいかない気がしてくる」
もし少しでも心当たりがあるなら、まずお伝えしたいのは、それはあなたが冷たい人だからではないということ。長い時間を誰かと過ごしてきた人ほど、心の中に「ものさし」ができているのは自然なことなんです。今日はその「ものさし」と、やさしく付き合い直す方法を、NLPの考え方を使って一緒に見ていきましょう。
なぜ40代・50代になると「比べてしまう」のか
看護師の仕事をしていると、患者さんのご家族から「前の病院ではこうしてくれた」と言われることがよくあります。最初の頃はムッとしたものですが(若かったわね、私も)、今はわかるんです。人は、不安なときほど「知っているもの」を基準にしたくなるんですよね。
恋愛も同じです。20代の恋は、比べる材料が少ないぶん、目の前の相手をまっさらな気持ちで見られました。でも40代・50代になると、結婚生活、子育て、別れ、そのあとのひとりの時間……たくさんの経験が積み重なっています。その経験は本来、あなたの財産。ただ、新しい出会いの場面では、ときどき「無意識の比較」というかたちで顔を出してしまうんです。
比べてしまう背景には、たいてい次のような気持ちが隠れています。
- もう二度と傷つきたくない、という防衛の気持ち
- 前の関係で「うまくいっていた部分」への名残惜しさ
- 自分の選択が間違っていなかったと確かめたい気持ち
- 新しい人を好きになることへの、ほんの少しの罪悪感
どれも、人として当たり前の感情です。比べる自分を責めるより、「ああ、自分は今、慎重になっているんだな」と気づいてあげることが第一歩になります。
ある男性のお話|「前の妻は、黙っていても察してくれた」
ここで、ひとつの例え話をさせてください。仮にサトシさん(52歳)としておきますね。
サトシさんは数年前に離婚し、子どもたちが独立したのをきっかけにマッチングアプリを始めました。何人かの女性と食事に行き、そのうちのひとり、ミドリさんとは会話も弾んで、三回目のデートまで進みました。
ところが、三回目のデートのあと、サトシさんはこんなふうにこぼしたそうです。
「ミドリさんはいい人なんです。でも、店を決めるときに『どこでもいいですよ』って言われると、前の妻なら僕の好みを察して決めてくれたのにな、って思っちゃう。料理の取り分けも、前の妻は何も言わなくてもやってくれてた。……こんなこと考える自分、最低ですよね」
サトシさんは、ミドリさんに不満を口にしたわけではありません。でも、心の中で比べるたびに、表情が少し曇る。その小さな曇りは、案外相手に伝わってしまうものです。四回目の約束は、なんとなく立ち消えになってしまいました。
ここで大事なのは、サトシさんの元奥さまが「察してくれた」のは、長い年月をかけてふたりで育てたものだということ。出会って三回目の女性に同じものを求めるのは、苗を植えたばかりの鉢に「去年の大木と同じ木陰をちょうだい」とお願いするようなものなんですね。
女性目線の本音|「比べられている空気」は、意外と伝わります
ここからは、ちょっと女性側の本音をお話しします。
女性は、言葉そのものより「間」や「表情の変化」に敏感です。たとえば、こちらが何か話したときに、相手がほんの一瞬「ふっ」と遠い目をする。それだけで「あれ、今、誰かと比べられた?」と感じることがあります。
私自身、若い頃に夜のお店で働いていた時期があって、そこでたくさんの男性とお話ししましたが、「この人、目の前の私じゃなくて、誰か別の人を見ているな」という瞬間は、不思議とわかるものでした。
そして女性が本当に心を開くのは、「この人は、今の私を見てくれている」と感じたとき。過去があることは、まったくマイナスではありません。むしろ、離婚や別れを経験した男性の、人の痛みがわかるやさしさに惹かれる女性はたくさんいます。
女性が引っかかるのは「過去があること」ではなく、「過去を基準に、今の私を採点されること」。この違いが、とても大きいんです。
NLPで「比べる心」をほどく3つの技法
では、どうすれば比べる癖とうまく付き合えるのでしょうか。ここでNLP(神経言語プログラミング)の技法を3つご紹介します。どれも特別な道具はいりません。
技法1:リフレーミング|「足りない」を「まだ知らない」に言い換える
リフレーミングとは、同じ出来事を別の枠組み(フレーム)で見直すことです。
サトシさんの例でいうと、「ミドリさんは察してくれない」というフレームを、こう言い換えてみます。
- 「察してくれない」→「まだ僕の好みを知らないだけ。だから伝えるチャンスがある」
- 「どこでもいいと言われる」→「僕に選ばせてくれている。頼りにしてくれている」
- 「取り分けてくれない」→「自分のペースを大切にする、対等な関係を望む人なのかも」
事実は何も変わっていません。でも、見え方が変わると、自分の表情も、相手への接し方も変わります。「足りない」と感じたら、心の中で「まだ知らないだけ」と言い直してみてください。それだけで、比較が「好奇心」に変わっていきます。
技法2:アンカリング|「今ここ」に戻るスイッチをつくる
アンカリングとは、ある動作や言葉と、特定の感情状態を結びつけておく技法です。
病棟でも、私は忙しくて気持ちがざわついたとき、ナースステーションのカウンターにそっと手のひらを置いて、深呼吸をひとつするようにしています。何年も続けているうちに、それが「落ち着く合図」になりました。
デートでも同じことができます。たとえば、
- グラスを持つとき、指先の冷たさに意識を向ける
- 相手の名前を心の中で一度呼ぶ
- テーブルの下で、親指と人差し指を軽く合わせる
こうした小さな動作を、「目の前の人に意識を戻す合図」と決めておくんです。比べる気持ちがふと浮かんだら、その合図をひとつ。すると、意識が過去から「今、ここ」に戻ってきます。家で落ち着いているときに何度か練習しておくと、より結びつきやすくなりますよ。
技法3:未来ペーシング|「この人との未来」を小さく思い描く
未来ペーシングとは、これから先の場面を具体的にイメージして、心の準備をしておく技法です。
比べてしまうとき、私たちの意識はたいてい「過去」に向いています。そこで、意識の向きをそっと「未来」に変えてみるんです。大げさな未来でなくてかまいません。
- 「この人と、次は桜の季節にどこかへ行けたら楽しそうだな」
- 「この人が好きだと言っていた映画、今度一緒に観てみたいな」
- 「半年後、ふたりでこの店に来たら、どんな話をしているだろう」
こうして「この人とだけ作れる、まだ見ぬ思い出」を想像すると、比較のものさしが自然と脇に置かれます。だって、未来の思い出には、比べる相手がいないんですもの。
今日からできる、やさしい実践ステップ
ここまでの内容を、日常で使いやすいかたちにまとめておきますね。
ステップ1:比べた自分を「責めずに気づく」
比べてしまったら、「あ、今比べたな」と心の中で実況するだけでOK。責めたり否定したりする必要はありません。気づくだけで、感情との間に少し距離ができます。
ステップ2:自分の好みは、言葉で伝える
「察してほしい」と思ったら、それは「伝えるチャンス」のサイン。たとえば「僕、魚料理が好きなんです。ミドリさんは何がお好きですか?」と、自分のことを話してから相手に質問を返してみましょう。察してもらうのを待つより、ずっと早く距離が縮まります。
ステップ3:相手の「初めて知ったこと」を一つ見つける
デートのたびに、「この人について今日初めて知ったこと」を一つ持ち帰る。帰り道にそれを思い出すだけで、意識が「過去の誰か」ではなく「目の前のこの人」に向いていきます。お礼のメッセージに、その発見をそっと添えるのもすてきですね。
ステップ4:過去の関係に「ありがとう」を言っておく
最後に、ひとりの時間に、過去のパートナーとの日々に心の中で「ありがとう」を伝えてみてください。うまくいかなかったことも含めて、その時間があったから今のあなたがいます。過去にきちんと感謝できると、不思議と比べる気持ちは穏やかになっていくものです。
過去は「ものさし」ではなく「土台」にできる
うちの3人の子どもたちも、それぞれ性格がまったく違いました。長男で覚えた子育てのやり方が、次男にはまるで通用しない。末っ子にはまた別のやり方が必要。最初は戸惑いましたが、あるとき気づいたんです。「上の子の経験は、下の子を測るものさしじゃなくて、私が慌てずにいられるための土台なんだ」って。
恋愛も、きっと同じです。あなたがこれまで誰かと過ごしてきた時間は、新しい人を採点するためのものではなく、新しい人を大切にするための土台。人を思いやること、ぶつかったあとに仲直りすること、ひとりの寂しさを知っていること。どれも、若い頃のあなたにはなかった、今のあなただけの魅力です。
比べてしまう日があっても大丈夫。そのたびに「まだ知らないだけ」と言い直して、目の前の人の笑顔に意識を戻せばいいんです。そうやって少しずつ、新しい関係はあなたらしく育っていきます。
夜勤明けのぼんやり頭で書いたので、ところどころ脱線していたらごめんなさいね。あなたの次のデートが、過去でも誰かとの比較でもなく、「今日のこの人」と過ごすあたたかい時間になりますように。
KAZUHAでした。


